鼻歌
新井宏輔
無文芸
1.
鼻歌を歌いながら、といっても表情は崩さず
夜のユーラシア大陸をちらりとみて、ドバイの水、これは飲料水だろうか、手を浸した・
鼻歌といっても実際には歌ってはいない・ゴーーーッという音だけがうるさい・機内のコップがカタカタ揺れて、少しだけ指を動かしなぞるだけだった・
中東は真下・
ぼくは この水を必要以上にかき回すのを嫌がった・
、
/
中国に参入しようとした企業の正否が出てきたらしい・
2.
街と、わたしたちの間には薄い雲がある・
水から手を引き上げて、クロスで拭く・
オレの方と言えば 小便をして、さっと席に戻る・
戻ると、わたしは、食器類がないのに気がついて、水を注文し、やはり、止めた・
砂漠に水を少しやっても意味はなく、そして、飛行機の窓は開かない・
、
/
目の前に
左にチャコールのエミレーツ
右にシロ い のエミレーツ
客席出口の一番ハスにいて、添乗員と向かい合わせて座る・
3.
街路のcadデータ化の波は、この辺りにはまだ来ていないようだ・採用試験を受けた会社の中には公団住宅の図面のトレースを、紙ベースからcadベースにするというものがあった・
構造設計の会社は、原子力発電の構造設計が結構多いらしく、家族や、近くのヒトに 原子力発電が嫌いなヒトいらっしゃいますか?と尋ねられることがあった・
いや、大丈夫ですと答えた・
、
吹上から友清が帰ってきて渋谷を尋ねたときにあったヒトが名前の中にはあった・確か、鹿児島で反原子力運動をしていた、?
未来への公共のメンバーの男の子のハナシをぼくは聞いたろう・
、
目の前に在り来たりであるアラビア語
航空機にはすでに少し飽きている・
/
後ろの席にもヒジャブの女性、そういえばテロはどうしたのだろうか?
4、
今回は旅券の手配を友清にお願いをし、急遽この旅は決まった・
中東と思っていたのは中国で、眠るために、録音したテープを聴いて、目を覚ます・
小平市長の小林マサノリの演説の手前で、かわいそう と誰かについてハナシをしているのが聞こえる・菅直人についてだろう・
録音は上手く聞き取れない・
相手は誰だろうか、
小金井市に住む彼はサラリーマン上がりの彼が、自転車に乗って近所をかけめぐっていたといっていたのを思い出した・ジャニーズとかそういったかんじだったよ
ただ多摩地区は旧家はみな自民でしょ・挨拶回りするのは、結局さ、、
だいたい同じような 目覚め方だ・
飛行機はドバイに着陸するようだ・
、
砂漠の上に計画された街という、街には学校、グラウンド、車のためのロータリー、公園、、考えられそうなものは全てありそうであり、ただ、砂漠にあることが オレのものおもいをひどくした・
/
誰かが動いたり
誰かが擦ったりしたら
吹きとんでしまいそうな・
計画というのは、、
と、コーヒーを飲んでいく・
5、
飛行機自体というより、その運航全体とは、驚異的な交通網、そして、そのカセン、ドクセンだ・
それはユートピア的な消費の欲動に夏だからか結びつく部分もあるようにはみえたが、
外からみると華やかにみえる中心に対して、静かに生活だけ がある 地上がみえる・
一本の道、20程の家たち、そして山、
上部では子供がワーワー やっている・
砂漠が続いている・
ゴルフコースのバンカーに生えた草の部分が家たちや、庭だ・
わたしにはどちらが大きいかは定かではない・
、
/
エミレーツは 飛行機会社で、
覇権・ハケン?的だ・
土地、土地を上がり下がりするオンナたちが自活し、少なくとも、数カ国語が喋ることができる・
実際、友清のドイツ留学は現実的ではないが、それを立場上はみることにしたのだった・
6、
タンカーが浮かぶ海を越える頃にはスーツは違った ものになる・
カタール?、
イランの国旗・
の
書かれた ジェット機・
/
目の前のシロい方のフライトアテンダントが、オレの右手のハクジンは気になるならしく、ずいぶんとハナシかけている・
確かに嫌なかんじがせず、彼女が笑うと爽やかかんじがする・
、、、
、
扉が開かないのに匂いが立ち上がってくる・何千年も変わらない地上の光の中の、この 物質的な ヒカリ!、
これだ・
11:53 東京 ⇆ 6: 55 ドバイ・
ドバイの朝・
、
トランジットまで時間が無い・
、
まだ建設中のドバイ空港・すでに初めてきたときの印象は当然、失われている・丁度、コーヒーを飲むときにいれる 角砂糖のように、
ノ、上に乗っている・
朝がしばらくすると、俗っぽく
ぼくは詩人たちが呪われて、
夜まで この土地を理解するなら、
面白いことがなに一つなく・
土地の精霊たちを呼ぶことが出来ないことさえ忘れて、
眠りこけるものたちに火をつけてまわる・
/
フランクフルト イズ、、*
なんでもない朝っぽさ、此れ程いいものはない・
、
友清に会う・
寝転んでいる足を叩き、起こす・
引っ張っていき、フランクフルト行きの飛行機に向かう・
、
室内は、デビッドボウイのスターマンが流れていて、先程亡くなったのをおもい、ふーん とすると 隣の席の白人が 唸いてはいる・友好の証とそれをとり、よくみると、ヒゲが生え、カラードにもみえる・生粋のアーリアは、生粋のゲルマンはと、くるくる 見渡してみる・
髪の毛も黒く、肌もチャコールで、彼は、ダニエルといった・ユダヤ人だ・
ココアパウダーが 都市を 覆っている・
/
ユダヤ人がナチスの秘密警察の映画を見ている・
面白いのと尋ねると、面白いという・
(英語のやり取り)
多くは遠くに行くというのをいいなと思うらしく、目的に欠いた このドイツへの すがらだが、ユダヤ人大量殺戮へ 積極的、消極的にであれ、加担した ものたちの 子孫たち の 中 へと滑りこんだ・
/
ユダヤ人に何が面白いの?と尋ねてみる・
今度は何も答えない
(英語のやり取り)
ソフトバンクへのサウジアラビアの出資がいかなるものかはわからないが、パソコン関係には自閉症などのヒトビトの積極的受け入れというのがあり、あるものは それを小池百合子の政策のせいといった・
ABCDE あたりに、ドイツについて尋ねるのを忘れていた・時間があればと思ってはいたはずだ、、
わたしのアルファベッツたちのウチの数人はヨーロッパ留学を経て、帰ってきて、現在に至る・
/ 気分が良くない・嫌な奴そうな奴等が多くて、オレは イライラし始めた・ドイツに ドイツ人を差別しに 行くのだ!、、
/ ぼくはスヤスヤ眠り、
/
( 映画の中のユダヤ人は殺戮される )
。
死海の近くまで来・キ
た、・
....
朝食に メロンとスイカがついている・
北半球は夏・・か、
エミレーツ・不思議と、ドイツが近づくに連れ、へんなよどみが現れていく・東京でみるとそれなりに人種の幅やらが、魅力と見えた ものが、今度は、ドイツにも 同じように 人種が降り至る といった ことに 気がつくのだ・
ムスリムたちもトイレを催している・
、
ドバイ〜フランクフルト便・
コォッと 鳴っている・
内股の添乗員が指を鳴らした・
パチンと・
7、
プププッ・プププッ・プププププッ・キーッ・プププッ、、、
テープを巻き戻している・
/
相模原の障害者施設での殺傷事件から一年程経ったという・
/
テープの再生ボタンを押した・・
、
どこかで聞いたハナシを誰か、恐らくオトコが暗唱している・
「企画というのはやっていくと、だんだんと時間と共に小さくなっていって、、、
「 、、、
「、、
、
/
ドバイを中心にして、世界をチョウのように結ぶ、、、
世界は縮減されながら、把握される・
、
アトミック・ポリューション get on ゲルマン
ゴート・・
、 ゴーーッ、、、isis 一掃作戦のためのカタールのミサイルの音だろうか、、・カチャッと、テープが終わる・
、
添乗員の御飯の時間で、椅子に内蔵されていたのを引き出したテーブルの上には、コーヒーを飲んだカラのコップとmai dubai water is life とかかれたゼリーカップのような 水となった・
あの手を洗っていたあの水だ・
向かいの添乗員がサ、サ、と機内食を駆け込んでいる・チャコールの肌にインドのキメがみえる・と、ぼくはやはり勘違いしている・
/ オレは バカに大きな チョウの羽搏き の 水脈の 一端 に 乗った・
フランクフルト・
しかし、人種が何故混雑するのか?
、
恐らく、西アジアだからだった・
、
水 の チョウ の、実際とは難しいくはない・それは、私と同様にほとんど毎日、働いているだけだからだ・ /ババタイテ、イルカ、らだ・?
8、
、/ 従業員たちも、食事を終えた・空港の建設に目処がつけば、このチョウチョウの完成絵図に、自己実現の色を付け加えることができる・
ある従業員が自分のウチのことをドッグハウスと英語で言った・
彼、彼女らは、会社のしつらえた ユニフォームを着ている・
ドッグハウスは何処の国にあり、
ウチは何処だろうか、
/
それは、彼、彼女らにとってはその辺であるはずであった・
/
着陸する段になると、いつも通り、従業員用の席に戻る・
9、
飛行機が旋回するからアタマの中に重力が働いて、機内の誰もが、どこかで 墜落したらどおしよお と考える・
、
暇人たちの時間潰し、テイタラクな テロ、
飛行機が墜落したらそれらに役立つの・
10、
鼻歌を歌っている・
口を閉じ、鼻で息をしている・
ガガッー、、、
到着した・隣人がニホン語を読めるために、
文面を見て 着陸すると 思わず笑った・
/
なぜこの中東の 会社が気になるのだろう?
オレは、ぼくに答えていった・
就活の時には それを話さなくてはならないよ・・
、
( 鼻 の 内孔 にツンとしたものをかんじる )