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スマホの光が足元を照らし出し、巡る季節の重さ増す
涙流した木陰の風が、足の裏を削り取る
田舎のあぜ道を走る新幹線の傍で、土の薫りにまみれて成長する気泡に包まれる
情緒に気付かず溺れるばかりの毎日は、理性的な日々には追いつかない
ブルーベリーの雫にからみつく、いつかの記憶は、見えない角で切り裂かれ
水曜日の夜に、地面から立ち上る冷気で骨盤を掴まれる

 

 

スーパーで納豆を手に取ると、Yahoo Japanの話をしている道行く人々がゆっくりと見える
タルトを食べて、腰を落とす
地面に寝転び、額を横に向けると満月が見える
足元から響いてくる車の轟音が、スマホを轢き潰し朝を巻き戻す
傾いたままの視界は、直線を歩く手助けに
週末の朝はいつも夢から踏み外す

 

 

海に立つ生き物 波打ち際に横たわる最中
蛍光灯の光は子供の頃を思い出す
緑の中で目を開ける ミネラルが眼球に染み込み、岩肌は崩れ落ちる
シャンパンを流し込まれた用水路は、のたうち回り痙攣した
手すりを撫でて釉薬をたらすと、足跡を追って崩れ落ちる塩のかたまり
爪を引き裂きオレンジの薫りを漂わせる山の雲

避暑地

西山雪包

無文芸

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